甲子園
[2002.4.30]
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我が家は、築「三男」年。三男が生まれてすぐ移り住んだから、三男の歳=家の歳となる。年齢計算がとても楽でいい。
その三男も今年で高校三年となり、すなわち我が家も17歳となった。17年の間に、弟はぐんぐんと成長し、体付きも随分とたくましくなった。が、我が家の方は、17年の年期がここそこに感じられるぐらい随分と衰えた。あちこちにガタが見え始めている。
その一つがキッチンだ。
建築時に一緒にセットされたシステムキッチンは、我が家と同じく17歳。当時、L型の機能的なボディは幼年の僕の目にもキラキラと輝いて見えた。しかし今や、油の染み付いたその体にあの日の心くすぐる美しさは見られない。
だが、見た目は随分とくたびれてしまったけれども、その機能はまだまだ現役バリバリのキッチン。大きいシンクは昔と変わらずたくさんの洗い物を引き受けてくれるし、コンロだって激しすぎる炎で鍋を焼いてくれる。ただ、、
ただ、、
換気扇だけは、あの頃のようには回ってくれない。決して回らないわけでは無いけれども、できれば回したくない。そんな気持ちになる。
何故って?
騒々しいのだ。
この17年の間で、換気扇はきっと力量以上に回り過ぎたのだろう。やむをえずスイッチを押すと、今は辛そうにヴォーンとうなり声をあげながら回ってくれる。加えてヴォーンヴォーンヴォーンと激しく音をたてる割に換気がいまいちなのも辛い。
そしてついに先日、換気扇は越えてはいけないような一線を越えた。「はじけた」と言ってもいい。
スイッチを入れるといつも通りヴォーンとうなる換気扇。彼は料理の間ひとしきりうなり続け、いつも通りの活躍を見せた。しかしその日の彼は、いつも通りでは終わらなかった。料理が終わりスイッチを切ると、なんと今度はフィナーレを飾るように新しい声で叫びはじめたのだ。その声は、今まで聞き慣れた低音とはひと味もふた味も違う超高音。そして余韻を響かせるように長々としたものだった。
あ、これ聞いたことある。
その日から我が家の換気扇は「甲子園」と呼ばれるようになった。