チビのすき間
[2002.4.17]
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夜、寝ようとして階段を上がっていくと、弟の部屋の扉が少し開いていた。中は暗かったので弟はもう寝ているのだろうが、部屋の扉は中途半端に開いたままだった。
それがどれくらい中途半端な開きっぷりなのかというと、人が通れるほど広くはないし、閉め忘れってほど狭くはないし、ホント手の平を広げたぐらいの25cmほどのすき間なのだ。
なんて中途半端なんだ。
そう思いながら僕は、隣の自分の部屋に入り部屋の扉を閉めた。いったん完全にピシッと閉めて、思い出したように弟の部屋と同じように少し開いておいた。
つまり今、2階には中途半端に開いた部屋が2つ並んでいることとなった。
中途半端な兄弟だ。
なんてね。実は、このすき間、チビの通り道なんだ。
我が家では、チビに寝床の選択権がある。家族みんな「チビと一緒に寝たい」と思っているのだが、強引にそれを実行することはできない。誰と一緒に寝るかは、チビが決めるのだ。
だから各部屋の扉には、全て中途半端なすき間が設けられている。チビが自由に出入りできるように。
このルール。誰が決めたわけでもないが、いつの間にか我が家に暗黙の了解として生まれていた。
さらに実は、このすき間にはもう一つ意味がある。本来はこっちの方が最初だったと思うのだが。
チビは朝起きると、家族みんなに挨拶してまわる。各部屋を回って寝床にテクテクと忍び寄り、おもむろに顔を舐めるのだ。
ペロペロと。
しかしもし、朝、チビが訪ねた部屋の扉が開いてなかったらチビはどうするだろう?
どうすると思う?
チビは朝の挨拶をあきらめる?
しげしげと帰っていく?
うーにゃ。チビはあきらめない。チビはあきらめないで、部屋の前でクゥンクゥンと泣くのだ。
「開けてよ‥」と。
それがわかってるから。だからうちの家族は、みんな部屋の扉をチビの分だけ開けて寝る。
たとえ毎朝、もがき苦しむほど舐められるとしてもね。
さて、今夜も扉を少し開けて寝ますかな。