[2002.3.20]
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少年はまだ12才。

今日は、その少年に敬意を払って、少年を彼と呼ぶ。

彼は、運動神経がずば抜けていい。彼はバレーをしているが、2mのネットから大人顔負けのスパイクを打つ。彼は小学生を超えた能力を持っている。

僕はもう27才。

僕もバレーをしていて、2m40cmのネットからそれなりに強いスパイクを打つことができる。運動神経はいい方だと思うが、ずば抜けてまではいない。僕は大人なりの能力を持っている。

でも、12才の彼らの目線から見れば、この僕も万能に見えるのだろう。

そしてある日、ひょんなことからその勝負は始まった。

それは二重跳び。

それはナワトビ。

ちょうどナワトビがはやりだし、子供達がみな縄を持って跳び始めた頃。彼は二重跳びで30回を跳んだ。そして僕に挑戦してきた。

僕はすぐ50回跳んでみせた。

数日後、彼は80回を記録した。

僕はまたすぐそれを超えてみせた。記録は112回だった。彼の挑戦をうながす目標になろうとナワトビを回してた僕だが、今度はそう簡単に抜かれないだろうと思った。

案の定、112回はなかなか抜かれることはなかった。

その後も子供達のナワトビ熱は下がることなく、毎日毎日あちらこちらでナワトビが回された。もちろん彼も縄を回し続けていたのだろう。新しい記録は噂にも聞こえてこなかったが、僕は報告を待った。「抜いたよ!」という彼の報告を。

そしてその日はちゃんとやってきた。もう卒業式が1週間と迫った日。彼は友人と一緒に僕のとこに駆けつけて言った。

「154回跳んだ!」と。

154回? これはまたとてつもない抜き方をしてくれたもんだ。驚き、正直きついなぁと思いながらも、僕は「またすぐ抜いとくよ」と答えた。

二日後。

なんとかかんとか全力を振り絞って、僕は彼の記録を抜いた。縄を回しながら、腕が重くなり動かなくなるのを感じた。二重跳びを辛いと初めて思った。そうしてやっとたどりついた161回だった。

卒業式まで残り3日のことだった。

さすがにこれは抜けないかもと思いながら、僕は朗報を待った。だが結局、最後の日も朗報が耳に届くことはなかった。彼の挑戦は終わった。明後日はもう卒業式だ。

しかし、まだ挑戦は終わってなかった。

その夜、バレー少年団の送別会で彼は二重跳びを披露した。二重跳びを100回跳びます。そしてできれば僕の161回を抜きます。と

大勢の人が見守る中。彼は舞台の上で縄を回した。50‥100‥150‥。数が増えるたびに周囲のカウントする声も大きくなった。彼は目標の100回を軽々と超え、僕の記録も追い抜き、200を数えて縄を止めた。

超新記録だった。

最後の最後の最後に、こんな席で抜いてくれるとは。。。

気がつけば、いつの間にか挑戦者は僕で、応えるのが彼になっていた。ことナワトビに関しては彼は僕を超えた。ということにしておこう。

彼の小学校での挑戦は終わった。見事な幕引きだった。次は中学校での挑戦が彼を待っていることだろう。

さてと、彼らが卒業したら200回に挑戦してみるかな。


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