異次元の扉
【11.2】
スパイクなるものを履いた。
初めて履いた。
スパイク。
靴底のつま先の所に針が付いてるシューズ。ニョキっと不自然に飛び出た針が、スパイクが、地面に突き刺さり突き進む靴。
スパイク。
肩慣らしならぬ、足慣らしをしようと軽〜く走ってみた。
びっくりした。
風を感じた。
トゲトゲが付いてるから堅い靴底なのだが、岩肌にピッケルを突きさしグングン山を登っていくように、スパイクは地面を噛み、僕の体はグングン前へと押し出された。
景色の流れていく速度が、肌をすり抜ける風圧が、今まで感じたことのないものだった。
異次元の扉を開けるのに、16本の針で事足りることを、今日初めて知った。