【チョコを巡る旅】

計4軒まわった。

誰かが買ってきて家にストックしてあった何げないチョコ菓子。小腹ごなしに袋を開けてつまんでみた。別に期待なんてしてなかった。ただチョコっぽければそれでよかった。だが、それは予想を遥かに超えて旨かった。

旅が始まった。

僕の旅が始まった。

チョコを巡る旅が。

また食べたい。抑えのきかない欲求に腰を押されて暮らし館へ行った。ここら辺じゃ一番大きなスーパーだ。おそらくあるに違いない。

無かった。

こんなことで諦める私ではなかった。あのチョコ菓子は叔母が置いていったに違いない。ならば叔母のよく行く店だ。車を飛ばしてちょっと遠いダイエーへと向かった。奴は全国チェーン。絶対あるに違いない。

無かった。

いやいやまだまだー。気合いを入れなおして考えに考えた。他にありそうな店といったら、、そうだ!タイヨーだ。少し心もとないが、ちょうどダイエーからの帰り道、とりあえず寄ってみよう。

閉まってた。

もうダメだ。もうあの味を再び噛み締めることはできないのかもしれない。そう思ったと同時に苦い日の想い出が頭をよぎった。

---7年前。ブルボン。デリシャスショコラパイ。気紛れに買ったチョコ菓子だったが、その旨さは絶品だった。私は、その当時住んでいた東広島市の全ての店を回った。しかし再びデリシャスショコラパイにめぐり逢うことは無かった。ある寒い冬の哀しい想い出である。---

こんなことならもっと大事に食べるんだった。あまりに旨いし安そうだったから勢いにまかせてパクパク食ったっけな。今考えると自分の行動の軽々しさに腹が立つ。

うかつだったな。

意気消沈した私は、家への帰り、寄るだけ寄ってみるかぐらいの気持ちでイズミストアーを訪れた。そこそこに大きな店ではあるが、他の大資本にも無かったんだ。あるわけない。まさかな、もしかして、いや希望は抱かずに行こう。無かった時のショックが大きいから。とりあえず寄るだけ寄るんだ。別に俺はなんの期待なんかもしちゃおらんぞ。ただ一応の可能性を潰しておこうかなって。それだけだ。ホント、あるなんて思っちゃいないんだから、いやどーせ無いって、ほらっ、な、無いだろ・・・

あった。

あった!

あった!

あった!

野球はツーアウトから。あきらめたらそこで試合終了だよ。安西先生‥・。教訓のごとき様々な言葉が脳を駆けめぐった。人生ってのは試合終了の笛を聞くまでわからないもんだ。

今、コラムを書く私の側にはそのチョコが何袋も転がっている。


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