【こーろー信号】

先日の話。

徳之島から東京に行く父が、中継のために奄美空港に寄った。奄美着は11時で東京発は19時。時間が空いたので一旦家に帰ることになった。だから僕は父を迎えに空港に行ってきた。

その時はまだなかった。

夕方、再び父を送って空港へと向かった。

車も少ない田舎道。いつもと変わり無い風景を置き去りにしながら僕は黙々と進んだ。しかし飛行場まであと少しというところで、その物体が目に飛び込んできた。

あっ、信号ができてる。

午前中から夕方の間に出現したその信号。誰がたてたんだろう?工事の人?いいえ違います。

あれはコーローがたてた信号です。

早いものでもう1年半前の話。

コーローの運転する車に下校途中の自転車が猛スピードで突っ込んできた。一時停止もお構いなく俺の愛車レックスの横っ腹に自転車はドーン!運転者の中学生は飛び上がりフロントガラスごと屋根を潰した。何しろ彼はやけに大きかったから。よって廃車決定。

けっこうな大事故だったが、スピードを落としきっていた車に横からの衝突ということもあり、コーローの刑事責任は全く問われなかった。でも学生の容態は不安だったし、愛車レックスは廃車だったし、2度とあいたくない嫌な経験には違いなかった。

その時、現場検証をする警官がつぶやいてたのを憶えている。

「信号つけんといかんや」

たいして交通量も無い場所だし、飛行場へ向けて最後のスパートをかけたい直線でもある。きっと皆「何でこんなとこに信号?」と腹を立てるだろう。ハッキリ言ってゴメン。

ゴメンではあるけど、それで僕らのような経験をしなくて済むのなら、それは「感謝しろ」と傲慢にも言わせてもらう。

思い出したら今でも涙が出る。それぐらい辛い経験だった。

この信号、知らない人には通じないけど、僕はコーロー信号と呼ぶ。きっとこのコラムを読んだ人もコーロー信号と呼ぶ(よね?)。

空港から南へ向かって最初の信号。


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