【赤鼻のトナカイ】
サンタの服は何故赤い?
それはサンタという存在自体に秘密が隠されている。
サンタクロース。彼は、トナカイの引くソリに乗って天を駆け巡り、子供達に夢の宝物を配ってまわる。だが実際に彼の姿を見た子供はいない。
これはおかしい。あれだけ多くの夢を配ってまわるサンタ。たまたま目を覚ました子がその姿を見ることもあるのではないだろうか。なのに見た子供はいない。懸命な読者ならもうお気付きだろう。そう、サンタの衣装の赤は返り血によって染められた赤。。。
サンタは自分の存在の神秘性を守るために、何の罪も無い子を次々と殺していった。皮肉なことに、彼が多くの夢を希望を配れば配るほど犠牲となる子の数も比例して増えるのであった。
そんなサンタの悪行をいつも影から見つめる目があった。そう、赤鼻のトナカイだ。トナカイは優しい心の持ち主だった。だからサンタの悪行は許せなかった。そして、サンタを止められない自分に悔しくてたまらない日々を送っていた。トナカイにはもう自分がサンタを止められないことはわかっていた。もう真っ赤な鼻になってしまったトナカイには・・・
昔、トナカイの鼻は普通に黒い色をしていた。サンタに憧れ尊敬していたトナカイは、サンタの夢を配る仕事を手伝えることになったとき嬉しくてたまらなかった。「大好きな子供達のために働けるんだ」熱い情熱を胸に抱きながらトナカイの瞳はキラキラと輝いていた。
そんなトナカイを待っていたのは、キラキラした喜びでは無く、切ないほどに冷酷な最低のクリスマスだった。サンタは悪びれることなく次々と子供を殺し、その度に赤く染まっていく衣装で平然とトナカイの所に帰ってくるのであった。
トナカイは何度も何度もサンタに頼んだ。「もうそんなことは止めてくれ」と。だがサンタは何も答えず何も変わらなかった。慣れた様子で平然と事を済ませるサンタを見るにつけ、トナカイはサンタへの憎しみを募らせていった。そしてある日、サンタを殺すことを決意したのだった。
その日、トナカイは上手い具合にサンタを崖っぷちに誘い出した。後はスキを見てサンタを谷底へ突き落とすだけ。不用心にサンタが背中を向けたその瞬間、トナカイはサンタ目掛けて突進した。
ズドンッ‥・・・
絶え間なく白い雪が舞い降りてくる夜の闇にサンタの体が一瞬浮かんだかのように見え、もうその次には目に眩しい赤い残像しか残っていなかった。トナカイは興奮していた。さっきの出来事は本当だったのか。サンタをやっつけたのは夢じゃないのか。状況がまだ信じられないトナカイだったが、真っ赤に染まった自分の鼻を見て夢じゃ無いことを確信した。サンタは谷底に落ちていったのだ。
興奮覚めやらぬトナカイだったが、その身も心も次の瞬間には恐怖に打ち震えていた。信じられないことに、トナカイの目の前の空中には落ちたはずのサンタが浮かんでいたのだ。「どうして?」
実は、サンタは飛べたのだ。「それなら何故、僕にソリを引かせた?飛べるなら僕がソリを引いて乗せてやる必要なんて無いじゃないか」納得できないトナカイにサンタは軽く一言で答えた。
気分だよ気分。
あぁ、赤鼻のトナカイ。。