【兼業オオカミ】

秋の長雨に対抗するために衣類乾燥機を買った。

僕は主夫だ。というより家政夫だ。ま、どっちでもいい。とにかく洗濯物を量産する質の悪い弟が1人いて、子連れオオカミのオオカミが僕ということだ。

オオカミは感心だ。炊事洗濯はオオカミがする。オオカミは以前は専業オオカミだったわけだが、今では仕事を別に始めたために兼業オオカミとなった。兼業オオカミは予想に違わず忙しい。専業だった頃に比べるといささか気苦労も増えた気がする。

オオカミの子がもう少し手伝いの出来る輩ならいいのだが、誰の血を引いたのかオオカミの子はたぶんナマケモノである。だからオオカミは毎日大変なのだ。

そんなオオカミを苦しめる新たなる敵が現れた。秋の長雨。本当にむかつくやつだ。

秋の長雨は質が悪い。あいつは洗濯物を増やしはしないが、減らしてもくれない。かといって弟の生産を止められるわけでもなく、ベルトコンベアーで流れ作業のように毎日洗濯物は大量生産されていく。これじゃたまったもんじゃない。洗濯籠には干す前の洗濯物が待機し、洗濯機には洗い終わった洗濯物が空しく身体をねじられたまま居座り、洗濯機の横には洗わなければならない洗濯物が積まれていく。たまったもんじゃないのに洗濯物はたまるばかり。語呂はうまい!が喜べない。

まだ兼業オオカミが専業だった頃には、長雨もコインランドリーでしのぐことが出来た。が、兼業オオカミにそんな余裕は無い。しかもどの家庭も抱えてる事情は同じようで、ランドリーにはオオカミがいっぱい。あのオオカミ達が兼業か専業かは知らないが、僕というオオカミには順番を待ってる暇はない。

そいういうわけで衣類乾燥機を買った。

今日は別に雨というわけでも無いが、とりあえず回してみようと思う。


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