【雨と僕】

雨は嫌いな方では無い。むしろ好きに近い方だろう。

僕は、雨が降ると不思議と心が落ち着く。軽いノイズのような雨音が空間に満ちあふれるおかげで、心が包まれているような安堵感を覚えるのだ。だから「雨の落ちる夜」なんてのは、雨音を子守唄に気持ちよく眠ることができる。

ただ、この落ち着きにイライラすることもある。

雨に遮断された空間は確かに僕に安堵の時をもたらすかもしれないが、ゆっくりしてもいられない状況ではこの安堵感が逆にわずらわしい。やらなくちゃいけないコトがあるのに、心は裏腹に緊張を失い気力を削がれていく。いわゆる「やる気!」が出ないのだ。

そう思いはじめると今度は空間を柔らかく支配する雨音が、うっとおしくジメジメと嫌な音をたてているように聞こえてくるから不思議だ。あんなにも僕の心を気持ちよくさせていた雨なのに、雨の暗さ・寂しさ・身動きのとれなさ・・悪いところばかりが目についてくる。

もうこうなってしまっては仕方がないので、とりあえずこの雨に対抗する手段を考えなくてはならない。何か対抗しておかないと、このままでは僕はやる気を喚起できないまま沈み込んでしまう。といっても、僕はとりたてて特殊な力を持ち合わせてるわけでもないので意図的に雨を操ることなんて出来やしない。出来やしないが、こいつに少なからずダメージを負わせる手段が全く無いわけでもない。

そういうわけでさっき衣類乾燥機を買ってきた。

雨よ。俺が洗濯物を乾かすことをお前にはもう止めることは出来ない。


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