【居眠り注意】
居眠り運転は人生で二度目だった。
一度目は数年前。夜8時から朝8時までの深夜バイトの帰り、昼夜逆転の慣れない状況に身体は限界。朝の通勤ラッシュの中(僕は帰りだったけど)ついウトウト。気がつくと一瞬の記憶が飛んでいた。ただ幸いなことに事故には至らなかった。
そして二度目の今日。それは夕方の帰宅ラッシュの中で起こった。
久々の仕事を始めた僕の身体は、そろそろ疲れが見えだした頃だった。加えて昨夜の睡眠不足。車中の僕の思考は断続をくり返し、視線は標的を失うかのように宙を泳いでいた。
それでも何とか車を操作し、ぼんやりとしたまま車はトンネルへと導かれていく。ラッシュの列に乗っているため、引っぱられるように半ば自動的に車は進むわけだが、ふらふらする視線に車もふらふらしていたのか、前の車との距離は異様なほどに開いていた。
気を引き締めなければ危ないなと思いながらも、オレンジの光は増々いっそう僕の思考を誘惑していく。白昼夢というまどろみの安穏へと。
ガッツーン!
にぶく硬い衝撃で目が覚めた。覚めた?そう確かに眠っていたのだ。冷や汗が流れ、思考のまどろみは一瞬にして何処かへと消え去っていった。
しまった!と思っても、もう遅い。起こったものを前に戻すことは出来ない。前を見、そして後ろを見た。前車との車間は以前と同様に開いており、さっきまでは詰まっていた後車との車間も今度はだいぶ開いていた。
おそらく僕の車は次第にトンネルの壁面へと接近していったのだろう。前方の車の異変に気付いた僕の後ろの車は、危険を避けるために十分な車間をとったと思われる。そして次の瞬間、タイヤのホイールが壁に接触したのだ。
幸いなことに、トンネルの壁には手前にちょっとした段があり、おかげで僕の車はホイールの損傷だけで済んだ。そして幸いなことに、僕は普段からどちらかというと左の方へ流れるタイプであり、おかげでラッシュで詰まった右車線の車の列に突っ込まずに済んだ。さらに幸いなことに、直線だったため、横をこするという最も衝撃の小さな損傷で済んだ。
幸いなことに・・あげれば切りがない。
夕方ラッシュのトンネルの中。「大惨事」でもおかしくなかったが、幸いなことに僕の運命は「ホイールのこすり傷」を選択した。
目覚ましテレビの占いは当てにならないと昨夜聞いたばかりだったが、12位と言われた今日のいて座、確かに当てにならないかもしれない。