【カレーの話-4-】
もう3年前の話になる。
1998年正月。私は広島のアパートで独り寂しい年始を迎えていた。そして何となく正月からカレーを作って食べていた。別に深い理由は無いのだが、ただ正月だしのんびりしたいからカレーで楽をしようと思ったのだろう。そして正月三日をカレーで過ごした私は、ふとバカなことを思いついていた。
「カレーってどれぐらい食べ続けられるものだろうか?」
一年の始まりにカレーなんて作るものでは無い。一度作ったカレーを食べ続けるタイプの私は、年明けにカレーを作ってしまったばっかりに、一年の始まりという区切りの良さからバカなことを考えてしまったのだ。
そしてバカなアイデアは実行へと移された。
正月以降もうちのガスコンロには常にカレーの鍋が鎮座し、量が減ってくると水を足し具を足しルーを足し、たまに全て作り直し、、、そうして毎日カレーの日が続いた。正確には、バイト先で食べるお昼はコンビニ弁当だったのでカレーというわけではなかったが、朝晩家で食べる分はカレーを外すことはなかった。
そんな日々が続くことひと月半。とうとう事件は起こった。
ある日の昼食後、私は大好きなグリコジャイアントコーンを食べた。それが引き金になったのだろうとお医者さまは言っておられたが、カレー生活で傷んだ私の胃はアイスクリームの冷たい刺激に耐えることができなかった。そして破綻した。
猛烈な吐き気に襲われてトイレに駆け込む私。うずくまった体は吐く物が無くなってもまだ「何かを吐け」と命令して止まなかった。同時に体中に悪寒が走り、原因不明の寒気に襲われた体は次第に生気を失っていく。「このままではヤバイ」そう思った私は、朦朧とした意識のまま病院へと向かって車を走らせていた。
病院のベッドの上。無表情なほど白いものに囲まれて横になりながら、私は独り静かに点滴を受けていた。白いものから目を逸らすように窓を見ると、外に広がる世界が私とは無縁で関係の無い場所に思えてきた。「俺は何やってるんだろう」ふと頭をよぎる寂しさとバカバカしさに、涙がにじんでこようとした。
人生最悪のバレンタインデーのことだった。。。