【5年間の想い】

ミハエル・シューマッハ

1991年ベルギーGPにてジョーダンチームからF1デビュー。デビュー戦でいきなり予選7位という速さを買われ、すぐさまトップチームのベネトンへと移籍。92年からベネトンよりF1フル参戦。年間で争われるチャンピオンシップに名乗りをあげる。92年3位。93年4位。94年及び95年ワールドチャンピオン獲得。そしてフェラーリへ。

フェラーリ。

F1最多出場最多優勝を誇る名門中の名門チーム。常にタイトル争いに絡む程の力を持ちながら、そして"名"と名のつく多くのドライバーがそのステアリングを握りながら、しかし混迷を極める。最後にドライバーズタイトルを手にしたのは1979年。以来、無冠の帝王。

ミハエルというカリスマとフェラーリというカリスマは共鳴するように互いが互いを欲した。片や、無冠の不名誉を脱ぎ去るために。片や、長いこと誰も成し遂げることが出来なかったフェラーリでのワールドチャンピオンを手にするために。

目標は3年以内。移籍最初の96年は我慢の年。2年目97年はウィリアムズとの優勝争い。だが最終戦でタイトルを掴みそこねる。3年目98年はマクラーレンとのタイトル争い。再び最終戦でタイトルを失う。目の前まで迫るのに届きそうで届かないワールドチャンピオン。

期限は切れた。一念発起の99年。しかし神様のいたずらか。不運なアクシデントが彼を襲う。事故、骨折、タイトルへの絶望。戦えずして1年が過ぎた。

そして2000年。20世紀最後の年。フェラーリ移籍5年目のシーズン。気合いは十分、マシンも十分。

序盤から圧倒的な力で独走するミハエルの赤い跳ね馬。開幕3連勝で確実視されるタイトル。しかし中盤、状況は一変する。ライバルの復活、3戦連続のリタイア、ミハエルに灰色の影が忍び寄る。混沌とするタイトル争い。勝てないミハエル。そして影は自分より前へ。今年も遠のいていくチャンピオンの座。。。

残り4戦。しかし、真っ赤な魂はまだ死んではいなかった。14戦イタリアGPで復活の狼煙を上げると、15戦アメリカGPでライバルを逆転。そして16戦日本GP。見事な逆転劇を演出した戦略、変化する路面状況をものともしないドライビング、1対1の真っ向勝負でライバルを打ち負かした。

F1は、速いマシンだけでは勝てない。速いドライバーだけでも勝てない。チームとドライバーの力、その総合力が結びついた時に初めて勝利を手にすることができる。

フェラーリとミハエル。その総合力でもぎ取ったワールドチャンピオン。5年と言う長い想いが結実した瞬間であった。


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