【落とし穴】

確かに最近、イイコトばかりが続くとは感じていた。1次は通るし、アイスガイは旨いし、春樹は面白いし。しかし、こんな落とし穴が待っていようとは想像もしなかった。

昼食後、例のごとく家の前の電柱を相手にバスケのシュート練習で汗を流してた私。この練習を始めてからシュート成功率は随分と上昇した。もちろん相手は何でもない普通の電柱。そこにゴールがあるわけではない。ただ、いつも頭にイメージを描くことは忘れないでいた。“ボールがゴールに吸い込まれる”イメージを。

今日もそうして何度もシュートを放っていた。そんな中、たまにコースがずれ、ボールがうまく返ってこないこともあった。それもいつものコト。だが、今日は少し違った結末を迎えた。

汗も十分にかき、そろそろ終わりを迎えた頃に放ったボールは、軌道をはずれ電柱から斜めに跳ね返った。そこには母の車があった。ここまでは別に驚くことでもない。わかりきったこと。そしてわかりきったように間違い無く車に当たり、バウンドしてボールは返ってくるはずだった。ただ少し違っていたことには、今回は打ちどころが悪かったということだ。

跳ね返ったボールは、自分の通ったあとに判を押すように、フロントガラスに綺麗な蜘蛛の巣をはった。ピキッ。確かにそういう音がした。そして何もかもが手遅れだった。

「お母さ〜ん、ごめ〜ん!」

叫びながら彼は走り出していた。しかし、どんなに叫ぼうとどんなに走ろうと、落ちた穴が塞がることはなかった。

しまったなぁ。。


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