3/17「激走170km。原付きの旅。〜8〜」
原付き旅もいよいよ終盤。たった1日のレビューがこんなに長くなるとは思ってなかったが、出会ったものが予想以上に多かった。書ききれずに省略した出来事も多々あり。170kmはあなどれない。
さて、辺りが夕焼けに向けて順調に衣替えを進める中、林道も終わりに近づき西古見の集落が見えてきた。瀬戸内町の西の外れの集落「西古見」。ここもかつてはカツオ漁で栄えた所だ。沖に並んだ3つの大岩「三連立神」の周辺がカツオの集まる漁場だったそうだ。今は過疎化が進み静かな村だが、サンゴの石垣や集落を守るガジュマルといった昔ながらの風景が残る美しいところである。
西古見に向かいながらまたリュウキュウイノシシと出会ったが、今度は距離もあったため落ちついてやり過ごせた。イノシシは私と目が合うと海に向かって斜面を走りぬけていった。こんなにもイノシシと会うなんて、ここは野生動物の楽園なのかもしれない。
原付きが西古見の集落に入った時、時刻はもう6時前だった。これは急いで帰らないと、家に帰り着くのは8時か9時か。気持ちは焦ったが、またしても葛藤が私を揺さぶった。海を眺めると、太陽がフィナーレに向けて彩りを増してきている。雲も晴れてきたし、今日は素晴らしい夕陽が見られるかもしれない。でも夕陽を眺めていたら帰りがだいぶ遅くなってしまう。ああ、どうすべきか。。
迷いながらもとりあえずカメラを構える。ファインダーごしに眺める景色はまたさらに美しい。何枚かシャッターを切り、迷いを断ち切ろうとするが上手くいかず。腹をくくって最後まで夕陽に付き合うことにした。
陽が沈みゆく光景を堤防に座って眺めていると、今日の旅のことがしみじみと思い出された。目的の曽津高崎へはたどり着けなかったものの、ハプニングや発見がたくさんあり充実した旅だった。今日の旅がもし車だったら同じような出会いがあったかどうか疑問だ。それだけ原付きは身軽で機動力があった。「何だろ?」と思った所ですぐストップできるし、どんな細い道も「とりあえず行ってみよう!」と突っ込むことができる。風が吹くとちょっと寒いが、車にはない楽しさがある。原付きの良さを改めて感じた1日だった。
そうこうする間に夕陽はいよいよ彩りを増し、遠く水平線に消えゆこうとしていた。沖には大きく真っ赤にふくらんだ太陽。その手前にはシルエットとなった三連立神。刻々と移りゆく光景は、一瞬たりとも目が離せない。辺りを自分色に染めあげながら、ついに夕陽は沈んだ。
さーて、そろそろ帰らなくては。時刻は6時半。陽が沈み、周囲の風景が急速に色を失っていく。走り出すと闇はすぐやってきた。現在地は奄美大島の西の果て。帰り着くのは何時になることやら。道路はもうすっかり真っ暗である。夜道に輝くのは原付きのヘッドライトだけ。美しい夕陽の代償は寒い寒い夜風だった。「たとえ昼間どんなに陽気でも、原付き旅行は防寒着必携」。妙なキャッチフレーズを頭に浮かべながら、私はひたすらに走り続けた。
帰りは西古見から古仁屋の方へ走り、途中、篠川(しのかわ)で左折し住用(すみよう)に向かった。どこにも止まらず真直ぐ帰りたかったが、あまりの寒さに耐えきれず、誰もいない真っ暗な道の駅「マングローブパーク」でホットコーヒーを飲み体を温めた。西古見から道の駅までは1時間。案外近いものだ。残りの帰路は峠も無く平坦なので、名瀬までは30分ほど。ということは、西古見<-->名瀬は1時間半か。ホント案外近いものだ。
和瀬トンネル手前でエンプティランプが灯ったので、市街地に入るとすぐガソリンスタンドで給油した。5リットル弱で170km。原付きの燃費は素晴らしい。そうして最終的に我が家に帰り着いたのは8時過ぎだった。出発から10時間。私も原付きもお疲れ様。今日はホント1日よく走りました。私はすぐ風呂に入り疲れを癒すことにした。おわり。