2/20「激走170km。原付きの旅。〜2〜」

 旅はまだ始まったばかり。目指すは奄美の西の端「曽津高崎」。現在地は、名瀬市から出て大和村に入ったところ。曽津高崎はまだまだ先だ。

 笹原が広がる宮古崎を後にし、私は、そこからすぐの国直(くになお)集落へ向かった。国直はサンゴのかけらで出来たサンゴ砂利の海岸で有名。が、さすが奄美のビーチ。この時期、人はだ〜れもいない。時間も12時と、ちょうどいい頃だったので、海岸でお昼にすることにした。そう思ってまっすぐビーチに向かった。が、右手の小道になにやら怪しい雰囲気を感じる。「ん、何だろう?」。私は意識にまかせハンドルを切った。

 海岸からつながる小道は、崖に沿って登り坂になっていた。幅は狭く、車だと通れそうにない。でも、今日は原付き。私はそのまま小道を進んだ。坂を登りきると小道はまた下りはじめ、向こうの方に海が見える。どうやらビーチがありそうだ。

 小道を下りきると、そこには小さな海岸があった。「うっわー、こんなところにビーチが!」。砂浜が小道の高さに届きそうなほどせまってきており、そのまま砂浜におりると、中味のつまったような濃い砂がギュッギュッと音をたてた。目の前には海、後ろには山。辺りは本当に何もない。ゆっくり吹いてくる風が気持ちよいから、ここでお昼にすることにした。

 サンドイッチとお茶で軽い昼食を済ませると、私はまた国直集落へ戻った。国直でもう一つ見ておきたいものがあったからだ。それはフクギの小道。

 フクギというのは葉っぱが分厚くて真直ぐ伸びる木で、防風林として重宝されている。東シナ海に面する大和村は、冬になると強い風にさらされるため、家を囲むようにフクギが植えられているのをよく見かける。大きく育ったフクギは集落の中にこんもりと盛り上がり、ちょっとした森を作っているようで面白い。大和村では国直の他に名音や今里でもフクギの森が見られる。

 フクギの盛り上がりを目印に根元まで近づいてみた。なるほど、家と家との間にある道がフクギに挟まれて確かに「フクギの小道」となっている。原付きを止めてちょっと歩いてみた。両脇に大きく伸びたフクギが辺りの情報をさえぎって、何だか不思議な空間に迷いこんだ気分だ。このまま歩いていくと、先には秘密の隠れ家が・・。そんな気がしてくる。ふと、子供の頃にワクワクしながら入ったススキの林を思い出した。「ハブがいるから入るなよ」と言われながらも、かきわけかきわけ進んだススキの林。頭の上におおいかぶさるススキの小道は、きっと秘密の隠れ家につながっている。そんな気がしていた。

 フクギの小道に昔を思い出し、私はまた原付きにまたがった。さて、先はまだまだ長い。進まねば。つづ


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