11/08 「冬の海、冬の風」

 冬の海である。

 冬。日本の空は「西高東低」という言葉で表される。冬と言えば西高東低なのだ。ニュースでも天気予報でも「西高東低!西高東低!」と叫んでいる。「西高東低の強い冬型の気圧配置になり・・うんぬん」と。ところで「西高東低」って何だ?

 冬。北半球には太陽の光が当たりにくくなる。太陽の光が当たりにくいと地面は温まりにくくなり、地面が温まらないと空気も温まらない。だから冬は寒い。ところで、日本は左横に大きな大陸があり、右横に大きな海洋がある。アジア大陸(ユーラシア大陸)と太平洋だ。冬、アジア大陸は陽光があまり当たらず温まりにくくなるので、冷たく縮こまった空気がどんどんたまっていく。空気は冷えると収縮して重くなるので、大陸側には冷たい空気がギュッギュッギュっと押し込まれて『高気圧』となる。それに対して、太平洋は海流が流れてるため温度変化は夏とそれほど変わらない。つまり太平洋は比較的温かい。温かいと空気は膨張し上昇する。そして海洋側は『低気圧』となる。西側(大陸)の高気圧と東側(海洋)の低気圧。西高東低のできあがりである。

 西高東低ができあがれば、後は空気が動くだけだ。気圧の高い所から低い所へと空気は動く。イメージとしては、アジア大陸でギュッギュッギュッと押し込まれた冷たい空気が外へ向かって吹き出す感じ。空気がスカスカの太平洋に向かって吹き出すから、日本の上空では西から東へと強い風が吹く。こうして日本海側は海が荒れて雪が降り、太平洋側は雪が降った後の乾いた空気が吹くため「からっ風」となる。

 こうやって出来上がった西高東低の気圧配置は奄美にも影響を及ぼし、冬になると東シナ海が荒れる。台風が近付いてもなかなか波立たない名瀬湾も冬になると白波ばかりだ。海から街に向かって強い風が吹きつけ、山羊島トンネルを目指す自転車通学の高校生は押し戻されてなかなか前に進めない。トンネルを抜けさえすれば追い風にのってビュンビュンなのだが。

 そんな冬の風が吹く中、気晴らしに大和村〜宇検村へとドライブしてきた。東シナ海に面した大和村はどこの集落にも波が押し寄せており、海岸線はほとんど白く泡立っていた。途中、磯平パークの所で車を止め眼下を眺めたところ、物凄い波が立っていた。あまりに凄かったのでトットットッと階段を磯まで下りてみた。いやー凄かった。本当に凄かった。冬の天気が悪い日にはぜひ立ち寄って欲しいほどの素晴らしい荒々しさだった。「冬の日本海ってこんな感じなんだろうなぁ」と思いながら、波にさらわれる前に引きあげた。

 磯平パークには立派なソテツがたくさんある。もうこの時期になると、赤く熟れたソテツの実(なり)も地面に落ちていくのだが、中にはまだ黄金色の冠をかぶったままのソテツもあった。ソテツが冠をかぶって始まった秋も、フヨウが白い花を付ける中で深まり、赤く熟れたナリが地に落ちるともう晩秋。北風が冬の訪れを告げると、荒れ狂う東シナ海が初冬を演出してくれる。そして我が家にはストーブが灯る、と。

 ホント、冬である。


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