9/9 「海に浮かぶ砂浜」

 かくれ浜に行ってきた。

 大潮で干潮時の潮位は14cm、台風一過で空は晴れ渡り、と絶好の「かくれ浜」日和。本日の干潮13時56分にあわせ、国道58号線を赤木名方面へと北上した。奄美クレーターを通り過ぎ、一屯崎の坂を駆け登り、峠が下りにさしかかった時、遠くはるか向こうの沖合いに一筋の白い輝きが見えた。

 「かくれ浜だ!」

 海面上に見事に浮かび上がったその砂浜は、照りつける太陽の光を反射して真っ白に輝いていた。青い青い海の中に浮かんだ、白い白い砂だけの小島。この瞬間にしか存在しない、はかない島。はやる気持ちを抑え車を走らせた。

 近くの海岸に車を止め、沖の砂浜に向かってカヌーを漕ぎ出す。かるく湾になった海岸線を横切るように、沖の海面上に白いラインが描かれている。少しの時間パドルを漕ぐと、カヌーはすぐ白い浅瀬に乗り上げてしまった。仕方なくカヌーから降り、砂の浅瀬に立ち上がった時、淡い幻想の空間は、ようやく現実のものへと変わった。

 「本当に浜だよ」

 8月の終わり、なにげなく開いた古い雑誌に小さく紹介されていた「かくれ浜」。そんな話小耳にもはさんだことのなかった私は、とても驚いた。「そんな場所が本当に奄美にあるのか?与論の百合が浜の間違いじゃないか?」と。正直「かくれ浜」の存在に半信半疑ですらあった。もちろん、まわりに聞いても知ってる者はおらず。これは自分の目で確かめるしかない。しかし、雑誌に詳細な場所は記されておらず。「笠利湾の沖に浮かび上がる白い砂浜」ということだけを頼りに探索を始めた。車を走らせ、カヌーを走らせ、航空写真を眺め、「ここじゃないか?」と当たりをつけ、大潮の日を待った。

 そして今日、大潮の日。月と太陽が地球を引っぱりあって、昼過ぎに海は引きに引いた。沖には砂浜がポッカリと浮かび上がり、なだらかに広がった砂の上には、柔らかい布を次から次へと重ねあわせるようにさざ波が漂っていた。

 「なんて美しいところなんだろう。ここは」

 しばらく姿を現した後、「かくれ浜」はまた静かに海の中へとかくれていった。次にまた現れる時まで・・。


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