11/13 「冬の匂い」
歴も11月となり奄美大島にも寒い季節がやってきた。つい先日までは半袖で暮らしていても何ら支障は無かったのに、ここ2、3日は嫌がらせのように冷え込んでいる。島の暖かい気候に守られていたおかげで「たかが11月」と思っていたのだが、「されど11月」。やはり11月は寒い季節のようだ。
今頃本土では紅葉がピークを迎え、山の色付きに心踊る毎日が繰り広げられていることだろう。紅葉は確かに日本の誇る色彩美である。紅葉に恵まれない奄美で育ったせいもあり、「これぞ紅葉」という光景に出会うことができたのは大学生になってからであったが、その美しさは本当に素晴らしいものだった。この季節変化の豊かさが日本を「四季のある国」と言わしめているのだろうなと強く感じたものだ。それほど紅葉に魅了された私なだけに、奄美に心踊る紅葉が見られないのはちょっぴり悔しい今日この頃である。
ただ、紅葉に恵まれないからといって奄美が寒く無いわけではない。暦が数を増すに従ってこの奄美大島も間違い無く寒くなってきている。そして実際に秋の訪れを感じることもできる。秋というのは湿潤な空気感にその特徴があると思うのだが、奄美の今頃の空気も例にもれず水気にあふれている。晴れた朝なんかに太陽の光を受けて水滴がキラキラと光るのを見ると、秋の存在を感じてふと嬉しくなったりするのだ。
そんな中、少しでも紅葉を見つけたくて、普段は通らない山道を独り巡ってみた。紅葉に恵まれない奄美ではあるが、さりとて全く無いわけでもなく、山では緋寒桜の木々が葉の色を移ろわせていた。まるでこれから厳しい冬でもやってくるかのように葉を落とし身体を削いだ緋寒桜の姿は、冬枯れを連想させる秋の寂しさを十分思い起こさせてくれた。この土地にも、もうすぐ毛布が必要な時期がやってくる。そんな予感がした。